2012年5月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« かみさま | トップページ | 惑:サンプル »

きみのうた

レン×春歌:雪の中のレン

※死表現あります※
苦手な方はご遠慮ください。

 君の手のぬくもりを、俺はまだ覚えている。

「春歌、ほら雪だ」
 眼前に広がる雪景色。まっさらな、まだ誰にも踏まれていない果てしなく白いそれに足を踏み入れると、きしりきしりと音がする。雪を踏みしめる音。まるで音楽のように聞こえるそれは、君のところまで届いているだろうか。
 ゆっくりと歩く。君と俺の歩幅は違うから。俺よりも随分と小さな君と一緒に歩くために、いつのまにかそんな癖がついてしまっていた。
 少し遅れて歩く君の姿を振り返ってみるのが、俺はとても好きだった。
「二人で雪道を歩こうって約束したのはいつだっけ?」
 それはつい最近のことのようにも、遠い遠い昔のことのようにも思えた。
 手をつなぎながら歩いた、あの道。あの時足元で響いていた音は、雪を踏みしめる音じゃなくて。
(落ち葉がたくさん落ちていた)
 黄金色の道を二人で歩いた。君は笑って落ち葉を踏んで遊んでいた。
 君と俺の落ち葉を踏みしめる音が新しい音楽を作るのだ、と君は言った。それは音楽の神に愛された君らしい発想。あまりにも楽しそうに歩くものだから、俺は少しだけ君の中にある音楽に嫉妬する。
 ――手をつなごうか。
 歩きながらそう言うと、君は少しだけ顔を赤らめて、それからそっと左手を差し出してくれた。俺はそれが嬉しくて、その手を取ると、そのまま自分のコートのポケットに君の手ごとつっこんだ。
 ――冬は良いね。こうやってハニーと手をつなぐいい理由になる。
 正直に自分の気持ちを伝えると、君はますます顔を赤らめて、それから私もです、と小さく応えてくれたっけ。
 かさかさと足元が、落ち葉を鳴かせていた。そうして君が言うんだ。
 ――いつか、雪の上をこうやって歩きたいです。あなたと一緒に。
 ――雪の上?
 ――二人で、雪に足跡をつけるの。並んで歩いて。きっと楽しいです。
 あの日の空は、とても雪が降りそうなものではなかった。君は雪が好きなのだという。清廉の白はまるで君だと思った。
 君にかかれば、何もかもが楽しかった。世界の全てが輝いて見えた。
 君が、俺の世界の全てだった。この世界で生きる意味を教えてくれた。君と君の音楽が、俺の愛する全てだった。
 俺の歌は全て君のためのものだ。それはきっと今も昔も変わらない。
 俺の歌は永遠に、君の―春歌のためにある。ずっと春歌のために歌い続ける。
 だって、君がそれを望んだのだから。

『歌ってください。ずっとずっと。あなたの歌を世界に響かせて』
 そうしたらきっと私にも届くから。君の声がよみがえる。
『あなたのいない世界は怖い。でも、あなたの歌があれば、きっと怖くなくなる。だから、ずっとずっと歌ってください。私の、さいごのわがままです』
 それが君の、さいごのことば。

 きしりきしりと雪を踏む。振り返ると、足跡がずっと続いている。
 空を仰いで、深呼吸をして。君の音楽を歌う。空の先まで届くよう。君の歌を、俺は歌う。
(春歌、俺の声は君まで届いてる…?)
 俺の手は、君のぬくもりを覚えている。耳は声を、目は笑顔を、俺の全てが、君の全てを覚えている。君が俺に見せてくれた、大切な夢も。全部、全部。
 歌を歌う。君が俺に残してくれたもの。大切な君の宝物。
 どうかどうか。
(この声が、君に届いていますように)
 それだけを願う。君と過ごした思い出はポケットにしまったまま。

 ただ、君の歌を。

**********

バンプの「スノースマイル」でレン春妄想したら一人でたぎりました。
春ちゃんがいなくなってしまったとき、レンくんがどう生きるのかを考えるとものすごく泣きたくなります。
春ちゃんにないと生きてけないと思うんだよレン…。

しかし私は相変わらず悲恋とか報われない話が好きですね。
性分です。ホントすいません。

何かございましたらこちらまで
パチ(´∀`人)

« かみさま | トップページ | 惑:サンプル »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/33378/43355418

この記事へのトラックバック一覧です: きみのうた:

« かみさま | トップページ | 惑:サンプル »